『裏切り者の国』フェンザード商業国

 パルティニア内西部に存在する、『人族の』国家です。パルティニア侵攻の折、いち早く人族を見限り、パルティニア側につきました。
 『ダブルクロス』『顔の無い男』『八枚舌』など、様々な呼ばれ方をするサラディーア・ニーミルが代表を務め、蛮族相手にも強気の交渉に出ています。
 蛮族にはない生産性、創造性を有する国家であり、かつての裏切りの実績から蛮族達にも警戒されていますが、彼らがもたらす技術は蛮族にとって革命的であり、手を出せる者は存在しません。
 人族側からも、ともすればどんなに強力な蛮族よりも強大な存在であると考えられており、いち早い奪還、あるいは壊滅を目指しています。

人物

『顔の無い男』サラディーア・ニーミル 人間/男/23歳

「誰だって死にたくは無いさ、今を生きるのに必要だったんだよ、この選択は」
 フェンザード商業国の、若き代表です。その巧みな弁舌と交渉術により、フェンザードの自治権を獲得することに成功しました。
 ドレイクよりも計算高く、バジリスクよりも狡猾。彼を御することは、蛮族達にも不可能です。
 彼によって、フェンザード国内の人族は不当な扱いをされずに済んでいますが、誰にも本音を見せない不気味さから、慕われてはいません。

『鉄人』ショウ・レンベン ドワーフ/男/82歳

「依頼人が変わろうが、儂のやることは変わらん。よりよいものを作って渡すだけだ」
 フェンザード商業国の「かつての」マギテック協会の代表だった男です。以前より自分の作るもの以外には興味がないという男で、蛮族相手でも気にせず技術を提供しています。
 今はパルティニア全体に鉄道網を敷くことを目標としており、その情熱はイグニスの炎よりも熱いと言われています。

『悪の味方の天才科学者』ドクター・ラピスラズリ

「そう!吾輩こそフェンザードの天ッ才科学者、ドクター・ラピスラズリであ〜る!!」
 主に人族領域で活動する、フェンザードの工作員です。操霊魔法と魔動機術を修め、奇抜な発想で低級蛮族を改造しています。本人の実力はそう高くなく、失敗作も多く作り出していますが、その探求心は衰えることを知りません。様々な冒険者と戦闘を起こしているようですが、何故か毎回運良く逃げ延びています。

"妖将"ミグドネシア スキュラ/女/186歳

「総司令官とは言うけど、その実ただのお目付役。だから好き勝手させてもらってるよ、アタシは」
 フェンザード軍の現・総司令官のスキュラです。
 フェンザード商業国はパルティニアの傘下となった人族国家ですが、蛮族国家であるパルティニアとて無条件でそれを受け入れたわけではありませんでした。内政に干渉されるのを避けたいフェンザード側と、反乱のリスクを抑えたいパルティニア側。両者が協議した結果、軍のトップをパルティニアから派遣された蛮族が勤めることが条件の一つとして了承されたのです。
 彼女がこの国の事業や思惑に直接関与することはありません。あくまで自身の仕事は監視であることと同時に、強化人間や独自の魔動機といった人族の技術力をもって人族に敵対していく様子を面白がっているためでもあります。一方で、独自の思惑で人員を動かしたり、或いは国に探りを入れるといったこともしており、見てるだけに留まるようなことはありません。
 西方大公であるガーレとは友人で、その縁で現在の地位に就いた経緯があります。西方領における農業にフェンザードの技術や知識を斡旋したのは彼女であり、また、度々2人が会合することがフェンザードに対する牽制の意味にもなっています。

『最高傑作』25番 人間/男/30歳

「我々に過去の確証は無く、我々に未来の希望は無い。だが、勝利の栄光はある」
 フェンザード商業国の強化人間であり、その名の通り25番目に作られました。フェンザードの強化人間はある程度の実戦経験を積めば固有のコードネームが与えられますが、25番は如何なる理由からかそれを拒否し、未だに番号で呼ばれています。その特異さから、他の若い強化人間達には畏怖を込めて「あの方」や「クォーター」などと他称されることが多いそうです。戦闘能力は折り紙付きであり、多数のソードビット、ガードビットを駆使しオールレンジ攻撃を仕掛けてきます。
 最早彼を縛る者はフェンザード国内にはいませんが、度重なる記憶改竄により自身の存在が揺らいでおり、諦観の中工作員として戦っています。

"ゼファー" 強化人間/男/48歳

「そんな大層なモンでもないんだがな、オレは」
 強化人間のビット操作に関する研究の過程で、とある案が提出されました。それは、魔動機兵をビットと同じく己が手足のように操縦できないかというものです。当然、これにはビット以上の空間認識能力に加え、魔動機兵に搭載されているセンサーの情報を処理する脳が必要で、これに耐え切れず廃人化・死亡する被検体が相次ぎました。その中には優秀であった強化人間もおり、結果としてこの計画は時期尚早であるとして凍結されることになります。
 ですが、例外的にこれを成功させた者がいました。比較的高齢で強化人間になった者で、操作してみせた魔動機兵の名を取って”ゼファー”と呼ばれた彼はしかし、魔動機兵1機及びいくつかの備品と共に、ある日忽然と姿を消しました。事態の露見と混乱を危惧した関係者は彼を書面上は実験により死亡したものとして扱い、一部を除いて記憶の改竄処理をしました。脱走時のセキュリティに異常が無かったことから、魔動機操作用のビットを通じた工作であると推定、過剰な能力を与えてしまったことを悟ったため計画を上記のように理由付けて凍結し、事態を知る者の中で秘密裏に捜索を行うことにしたのです。
 本人は現在、改造人間であることを隠し、冒険者や傭兵としての生活を送っています。名前は足が付かないよう都度変えており、『フランツ』や『ケヴィン』のような一般的なものを選んでいます。職務に忠実で冷酷にもなれる一方、仲間内には面倒見が良い性格をしています。所在は転々とさせているため不定で、寝食を長い間共にした相手はいません。
 一見すると安定した精神状態のようですが、気が変わるのが早く、一ヶ所に留まれないからか部隊の移籍申請を繰り返していました。その延長線上に脱走があり、実現できるようになったから実行した……というのが主治医の見解です。

“人形遣い”ルナ・スノウフロス

「子供の時から宝石より人形が好きでね。だからかな、昔から人を弄るのは得意なんだ」

人形遣いと呼ばれる高位のサルダナーン神官であるバジリスクです。
パルティニアでも屈指の有力者の家系ではありますが本人は出奔、現在で特定の神殿などには所属せず、大陸を放浪して蛮族や人族の精神を解体し研究をすることを生業にしています。基本的にはバジリスクらしく享楽的ではあるものの、穏やかな人物です。しかし気に入った者の精神を操って自らの人形にしたがる悪癖があるため人族領域では危険人物として警戒されています。
しかし、大仰に人形と本人は呼んでいますが、実際には彼女のことを親しい友人だと思い込ませる程度に精神操作されているだけであり、あまり非道なことを行なっているわけではありません。本人曰く「当たり前だろう?生き物の心を調べたいのに、言いなりにしたら何も分からなくなるだろうに」とのことです。
またフェンザードに依頼され、研究者として強化人間の製作に開発当初からも関わっていると噂されていますが、真偽は定かではありません。

技術

強化人間

 強化人間とは、フェンザードが独自に作り出した、人族の子供を使った特殊な兵士のことだ。いくら技術面でパルティニアに協力しているとはいえ、戦力が皆無では血気盛んな蛮族達は納得しない。それ故に苦肉の策として作られたのが強化人間である。まず、様々な種族が存在するラクシアにおいて、なぜ強化『人間』などと特定の種族を指すような言葉が使われているのか、というところに疑問を持つかもしれない。これは強化人間の起源に遡る。まず、人間が種族として運が良いというのは周知の事実だろう。強化人間を作り出す実験の初期段階では、危険であったり結果が不確定であったりするものも多くあった。これの成功率を少しでも高めるため、被験体は人間が多く使われた。当初は強化エルフや強化ドワーフと呼ばれている者もいたが、最終的にはまとめて強化人間と呼ばれることになったのだ。現在では強化人間を作るノウハウが蓄積され、当初ほど危険な実験は無くなったが、それでも人間の幸運に頼ることは多い。

 強化人間のもう一つの特徴は、「ビット」と彼らが呼ぶ特殊な武装だろう。近接戦闘能力の無い魔法使いでも、訓練を積んだ兵士の死角から攻撃を当てられる、あるいは射程の長さを利用して後衛を狙い撃ち出来るという脅威度の高い武器であり、防具だ。これはマギスフィア、特にフローティングスフィアの技術を応用して作られている。構造自体は単純であり、剣(あるいは盾)に、マナによって動く推進装置と、小型のフローティングスフィアが接続されているだけである。しかしこれを動かすには並々ならぬ空間認識能力と集中力が必要であり、強化人間達は身体能力や戦闘技術に加え、そういった部分を魔法や薬物、外科手術などにより強化されているのだ。しかしそれらに対する副作用として、精神面の脆弱性が露呈することになり、精神崩壊によって廃人と化したり、死に至る強化人間が大半を占めている。

トスハイム青金工房

 ドクター・ラピスラズリの主宰する科学サークルです。魔動機製作同人として出発しましたが、生体実験の好きな者、ゴーレム使いなど、精神魔法が至上におかれるフェンザードにおいてはぐれ者とされる科学者が集まり規模を拡大していきました。それでも一介の同人サークルであった彼らはしかし、知恵を働かせた誰かが「パルティニアに認められるにはそれに相応しい軍事力が必要だ」として権力に取り入り、改造人間計画によって実力を示したため、国の予算が付くまでに上り詰めました(ただし、その予算は工房の運営規模には遠く及ばず、他にも資金源があるという説が有力です)。なお、ドクターは現状に満足しておらず、彼の言う「悪」を実現する同盟者を探している……という噂もあります。


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