タレント(才覚者) その他系技能 テーブルA

 黒銀鉱と呼ばれる、主にプラグホルン周辺で採掘できる特別な鉱石を触媒に、生命に秘められた力「アーツ」を引き出す才能です。これに目覚め、行使できるようになった者は才覚者と呼ばれます。

概説

 人によって、どのようなアーツが発現するかは全く異なります。魔法ではありませんが、既存の魔法や練技に近しい結果をもたらすこともあります。中には神の起こす奇跡のような、極めて強大な能力を発揮できる者もいます。しかし、そういった重大な現実改変をもたらすアーツは代償にHPを要求するものもあり、濫用は才覚者の破滅に繋がります。ただし、よほど大規模なアーツでもない限りは、HPを消費するアーツは稀です。
 才覚者に共通する特徴を見出すとすれば、(アーツを行使するための)高い生命力、そして能力の先鋭化が挙げられるでしょう。才覚に深く傾倒した者の中には、極めて手先は器用だが小刀を振るう筋力もないだとか、頭脳明晰でありながら動きが鈍すぎて察知した危険をかわせないなど、能力が極端になりすぎて十全にパフォーマンスを発揮できなくなってしまう者もいます。そうした事態を防ぐため、才覚者たちのコミュニティでは能力の先鋭化をある程度制御する方法が伝わっています。しかし、それも才覚にかかわるものであるため、才覚者以外に伝えることは極めて難しく、才覚者であるにもかかわらずうまく理解できない、なんてこともあります。

発祥

 才覚者が出現したのは、魔法文明時代と魔動機文明時代の間期という説が有力です。魔動機術がまだ技術体系として確立していなかった頃、「魔術を民衆の元へ」の理念を実現すべく、多くの試みが成されました。それらの中には、自然から採集できる資源を用いてその効果を再現する試みも数多くありました。それらのほとんどは、火を起こす、金属を溶かすなど単機能といって差し支えないものであり放棄されましたが、アンサローシア近郊で採集された黒銀鉱には、現実性改変能(オントキネティック)と呼ばれる特殊な効果があり、この鉱石を有機溶媒と反応させた溶液を用いることで、機械に魔法的要素を付与することを可能にしました。
 この機械はマナを用いるより優れた魔動機の登場で廃れましたが、一方で研究者たちは、自分たちが魔法的能力を行使できることに気付きました。これが黒銀鉱のもたらしたものだと気付いた彼らは、人によってばらばらだったこの能力を体系化することを次なる目標に定めました。しかし研究の努力むなしく、結局それらは個人の才覚に依存すると結論付けざるを得ませんでした。アル・メナスの目指した、誰にでも使える能力ではなかったのです。そのため、この能力は体系化され学習することができる魔法や技能(サイエンス)と対比して、鉱才(アーツ)と呼ばれるようになりました。
 それでも、時に魔法で再現されないような特異な効果をもたらす鉱才は、最後の寄る辺として頼られました。医療の都プラグホルンでは、胎児の段階から英才教育を施すことによって鉱才をある程度誘導し、医療や治癒の鉱才に目覚めやすくする手法が確立されます。特に有用な才覚者は魔法でも治療が難しい難病奇病に立ち向かい、成果を上げました。鉱才を誘導するほどの教育法はアンサローシア崩壊と共に失われましたが、共通才覚と呼ばれる多くの才覚者に共通する鉱才や、能力の先鋭化を制御する方法は、才覚者たちの間で辛うじて伝わっています。
 一方、体系化できずともアーツを活用できるとする人々もいました。現在はアニムズと呼ばれる、ケルディオン大陸東方に住まう戦闘民族――サムライです。彼らはアーツを戦芸と呼び、現代でも大いに活用しています。サムライは勝利のために手段を選ばないことで有名ですが、裏を返せばいかなる才覚であろうと戦いの中に使い道を見出せるのです(逆に、勝利を至上とする精神性が才覚を戦いに有用なものに誘導している、という見方をする研究者もいます)。

黒銀病

 黒銀鉱やその加工物と長くかかわっていると感染することのある病です。感染すると、体内や体表に黒銀結晶が析出するようになり、やがて死に至ります。黒銀病患者は死亡してしまうと蘇生できません。なぜなら、その死体は速やかに黒銀鉱で構成されたゴーレム状生命体に変化してしまうからです。大抵この黒銀ゴーレムは敵対的であり、またやはりこのゴーレムも黒銀鉱であるため、その攻撃を受ければ黒銀病のリスクとなります。
 最も黒銀病に罹る可能性が高いのは才覚者です。アーツの行使には黒銀鉱が不可欠であり、才覚者は多くの時間を黒銀と共に過ごすからです。ただ、才覚者の中には黒銀病を追い風とみなす向きもあります。感染者は身体に析出した黒銀結晶を媒体にアーツを行使できる上、自身のアーツがより強く顕現するようになるのが理由です。しかしその末路はゴーレム化であり、周囲を危険にさらすことから普通は忌避されます。
 一度罹った者が完治したケースはありませんが、かつてのプラグホルンでは継続的に治療を受けることによって、病の進行とゴーレム化を阻止する手法が確立され、健常者とほぼ変わらない生活を送れたといいます。危険を乗り越えプラグホルンを訪ねることができれば、その治療法を受け継ぐものに出会えるかもしれません。
 なお、アニムズではこの病は才覚者の精神が軟弱なせいでなると信じられています。プラグホルンが封鎖された今、黒銀ゴーレムは貴重な黒銀鉱の入手元であるため、実力者によって速やかに討伐されることでしょう。

習得するには

 習得、というのは語弊のある表現かもしれません。アーツは個人の才覚に強く依存し、いくら望んでも何の能力も開花しない、なんてことも少なくないからです。それでもアーツの獲得を望むなら、まず黒銀鉱を身に着けるところから始まり(、それに尽き)ます。才覚者のコミュニティもありますが、それは才覚者のための互助会という側面が強く、どうすれば才覚者になれるかという問いに対しては彼らも答えを持ちませんが、経験に基づいたり基づかなかったりする助言くらいは得られるかもしれません。

社会での存在

 かつてのプラグホルンでは、才覚者は医療のスペシャリストでした。現代では、旧アンサローシア領域を跋扈する獣たちに対する戦力として期待されます。アニムズでも戦芸は勝利の手段のひとつとしてもてはやされます。その他の地域では、そもそも知られていないか、魔法と似たようなものだという曖昧模糊な認識です。黒銀病の存在、また黒銀病と瘴死病の混同から、才覚者そのものを忌避する者も稀にいます。
 才覚者自身は、自信に満ちた者が多いです。ある才覚者は、自分がアーツを行使できると信じることが才覚を開花させる第一歩だと語ります。一方で、戦果を期待されることに困惑したり忌避感を覚える才覚者も少なくなく、中には自身を押し殺して戦闘機械のように振る舞う者も居るといいます。才覚者にほぼ共通する感情としては、黒銀病への恐れがあります。特にアニムズでは、発覚すれば切腹すら許されず生き晒しにされることから、才覚者たちは黒銀病の恐怖から逃れるように禅などの精神修行に励みます。生き晒しから逃れるため山賊などのアウトローに身を堕とす罹患者も多く、そういった才覚者はアウトローを主導する存在として恐れられます。

用語

才覚者

 タレントに関する表記では、アーツを使いこなすキャラクターを才覚者と記述します。

アーツ(鉱才/戦芸)

 アーツは、黒銀鉱を触媒に、才覚者に秘められた特異な能力を引き出すものです。繰り返しになりますが、どのような能力が発現するかは人により全く異なります。多くの地域では鉱才と呼びますが、アニムズやアニムズ出身者に影響を受けた地域では戦芸と呼ばれます。このページでは、どの地域でも通じるアーツという呼称を用います。
 アーツは魔法ではありません。【センス・マジック】などには反応しませんし、【ディスペル・マジック】など魔法を解除する効果では解除できません。《ワードブレイク》【パーフェクト・キャンセレーション】などならば解除することができます。
 「形状:射撃」のアーツの行使に《ターゲッティング》や《鷹の目》が有効なのは他の技能と変わりありません。《魔法拡大/**》のような、魔法行使のみに影響する戦闘特技は、通常アーツには影響しませんが、それを可能にする共通才覚はいくつか用意されています。

共通才覚

 才覚者の多くに共通して発現しうる能力です。誘導する方法が継承されており、才覚者コミュニティに接触できれば、狙ったものを習得できますが、そうでなければこれも何を得るかは天命に任せることになります。行使などの処理については、アーツに準じます。

タレント技能で行える判定

アーツ行使判定

 基準値:タレント才覚レベル+生命力ボーナス
 所要時間:一瞬
 解説:アーツを行使するときの判定です。使いかたは魔法行使判定に似ていますが、行使に(知力ではなく)生命力ボーナスを用い、抵抗を試みる場合も(精神抵抗ではなく)生命抵抗判定を行います。たとえ「属性:精神効果」のアーツがあったとしても、これは同様です。

共通才覚とアーツの獲得

 キャラクターは、タレント才覚を1レベル成長させるごとに、共通才覚を獲得します。才覚者には互いに連絡を取り合っているコミュニティがいくつかあり、狙った共通才覚を習得する方法を共有しています。これらのコミュニティに接触しているならば、「選択可能な共通才覚一覧」から狙ったものを習得することができます。コミュニティとの接触がなければ、「共通才覚決定表」を用い無作為に決定します。中には「共通才覚決定表」でしか得られない能力もあるので、コミュニティとの接触があるキャラクターも、望むなら「共通才覚決定表」からダイスで決定してもかまいません。ただし、一度そう決めてダイスを振ったなら、必ずその結果に従わなければなりません。また、Lv1の共通才覚は必ず「共通才覚決定表」からダイスで決定します。狙った才覚を習得する手法は、才覚者でない者には理解できない感覚的なものだからです。

 タレント才覚が奇数レベルに達するたび、キャラクターはアーツを獲得します。基本的にキャラクターごとに違うものが発現しますが、双子などの特殊な環境下では、同じアーツが発現することもあるようです。才覚者となってから心境や環境に大きな変化があった場合などには、同じキャラクターが大きく系統の異なるアーツを獲得することもあります。

アーツの使用条件

移動の種別の制限

 アーツを使用するときは、キャラクターは「全力移動」を行うことはできません。一部の大規模なアーツの行使では、加えて「通常移動」も不可となります(この場合、アーツに通常移動不可と明記されます)。

黒銀の武器/装飾品

 アーツを行使するには、黒銀鉱の製品を装備している必要があります。これには、

・使用している武器に黒銀鉱石を装着する
・「用法:1H」のアイテムである〈黒銀の数珠〉
・「任意」の部位に装備できる装飾品である〈黒銀の装飾品〉
 以上の3つの種類があります。

 以上の条件を満たしていれば、その他の装備の制限はありません。また、発声や呼吸の必要もありません。

アーツの使用

 基本的には魔法の仕様に準じます。基本的には主動作を消費して行使しますが、補助動作や戦闘準備で使用可能なアーツも存在します。これらをそのタイミングで行使する場合、アーツ行使判定は行われず、達成値「0」で即座に行使されます。それを主動作で行うことも可能ですが、その場合はアーツ行使判定を行うことになり、自動失敗のリスクも生じます。戦闘準備で行使できるアーツは習得しているもののうち1つ、1回のみです。
 なお、先述した通り、対象に抵抗の意思がある場合、抵抗に用いる判定は生命抵抗力判定です。

アーツに関連するアイテムその他

名称〈武器加工:黒銀鉱石装着〉価格プラグホルンで200、アニムズで500、その他地域では2500
概要武器に黒銀鉱をつける
説明任意の武器に黒銀鉱を装着し、アーツの触媒として利用できるようにします。
この加工では単に黒銀鉱を取り付けるだけであり、銀製になるなどの副次効果はありません。
(もし「黒銀鉱製の武器」があるとすれば、それは銀製の武器としても扱うべきでしょう)


名称〈黒銀の数珠〉価格プラグホルンで200、アニムズで500、その他地域では2500
概要黒銀鉱製の数珠。用法:1H
説明望むなら、他の形状の触媒を設定しても構いません。


名称〈黒銀の装飾品〉価格プラグホルンで200、アニムズで500、その他地域では2500
概要黒銀鉱製の装飾品
説明〈スマルティエの装飾品〉や〈ラル=ヴェイネの装飾品〉に準じ、特殊な効果を持たない装飾品の価格に
上記の価格を追加することで購入できます。
加工元の装飾品は、銀製のものが存在する類のものがよいでしょう(そうでなくともかまいません)。


  才覚者コミュニティとの接触について  GMが望むなら、そういったコミュニティに所属するNPCとのコネクションを与えてもよいでしょう。そういう機会がない場合は、名誉点100点を支払って接触したことにしてください。


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