絢爛たる死の都 プラグホルン

 魔法文明時代より存在し、王を中心に貴人と呼ばれる13人の代表者の合議制を取り繁栄を続けていた国、アンサローシアのかつての首都です。主要産業は医療技術で、魔動機術や錬金術、さらに鉱才《アーツ》までも医療に応用し、最盛期には「プラグホルンに根絶できぬ病なし」と言われるほどでした。
 しかし魔動機文明時代中後期、その技術力を試すかのように、その首都をいくつもの疫病が襲いました。特に、後に瘴死病(ベスティア)と名付けられる伝染病の感染力、致死性は破滅的で、多くの技術者や魔法使い、才覚者たちが治療に取り組んだものの、症状の抑制すらできなかったといいます。これらの病と患者の隔離政策、そしてそれらによる政治的混乱から、ついにアンサローシアは壊滅したのです。
 周辺諸国による高さ30mもの壁の建設、さらに使い捨ての魔動機による焦土作戦により、国外への瘴死病拡大は免れましたが、未だ国土の大部分に生者の姿はないとみられています。現在のプラグホルンは不死者達の住処となっており、現在でもかつての街の絢爛たる姿を残している……そんな噂もあります。

人物

“華死瘴爛”ベアトリーチェ・アベルーズ

「可愛らしい男性は好きよ、子供たちはもっと好きね」
 プラグホルンの中心地、廃城ルインズハートを居城とするか極めて高位のノスフェラトゥです。  ノスフェラトゥの中でも変わり者である彼女は人族や蛮族の気に入った人間を誘惑(純粋な話術や身体の技術で)しては居城に連れて帰り、夫として大量のラルヴァを生み自らの血族を増やし続けています。
 ラルヴァだけでなく寿命を迎えそうになった子供達や夫を次々に眷属としてノスフェラトゥにしているため血族の数は年々増え続けています。また彼女の眷属たちは彼女の価値観を間近で見続けているためラルヴァ達のことを差別するようなこともありません。
 既にプラグホルンは彼女の子であるラルヴァやリャナンシー、レッサーヴァンパイアなどの血族によって一つの街として機能しています。
 無論人族や蛮族の奴隷が食料として飼われ、牧場のようになっている場所も存在しますが、福利厚生はしっかりしているためわざわざ地獄のような様相になっている街の外に出ようとするものはほとんどいません。
 またラルヴァ達は“ベアトリーチェの子供”として丁重に扱われるため奴隷のような扱いを受けることはありません。
 むしろノスフェラトゥになる前のモラトリアムとして扱われている場合が殆どで、ノスフェラトゥの保護者の元で学問や武芸の鍛錬に励んでいるものがほとんどです。
 ベアトリーチェ本人は子供達が溢れるこの街の中心で生活を見守りつつも、また新たな伴侶を探しに時々街の外へ繰り出していくそうです。

資源と病

黒銀鉱(フィスタイト)

 プラグホルン周辺で採れる鉱石状物質です。ある種のキネティックエフェクトがあり、身に着けていると鉱才と呼ばれる特異な技能が開花することがある他、有機溶媒と反応させることで液体の魔動機動力源として利用できます(当然、それを受け入れる専用の設計が必要です)。

鉱才/戦芸《アーツ》(タレント技能)

 黒銀鉱を身に着けていると、それを媒体として特異な能力を使えるようになることがあります。これは個人の才覚に依存し、どんな能力が使えるのかのコントロールは難しいとされていたため、体系化された魔法や技能《サイエンス》と対照的にアーツと呼ばれ、その使い手を才覚者(タレント)といいます。プラグホルンでは、幼少期から英才教育を施すことで才覚を誘導し、医療や治癒の鉱才に目覚めやすくする手法が開発され、広く用いられました。しかしその手法はプラグホルンの衰滅と大破局により失われています。
 一方、アニムズでは覚醒させたアーツを戦芸と呼びます。彼らサムライは勝利のために手段を選びませんが、裏を返せばいかなる才覚であっても戦いの中に使い道を見出せるのです。

黒銀病(フィスタシー)

 黒銀鉱やその加工物と長くかかわっていると感染することがある病です。感染すると鉱才適性が高まりますが、体内や体表に黒銀結晶が析出するようになり、やがて死に至ります。黒銀病患者は死亡してしまうと蘇生できません。なぜなら、その死体は速やかに黒銀鉱で構成されたゴーレム状生命体に変化してしまうからです。大抵この黒銀ゴーレムは敵対的であり、その攻撃を受けると——低い確率ではあるものの——黒銀病にかかってしまうのです。この病によりプラグホルンは一時大変な混乱が起こりました。しかし研究が進み、継続的な治療は求められるものの、患者は死に怯えることなく健常者に混ざって生活できるまでになりました。
 なお、アニムズではこのゴーレム化は才覚者の精神が軟弱なせいでなると信じられています。プラグホルンが封鎖された今、黒銀ゴーレムは貴重な黒銀鉱の入手元であるため、実力者によって速やかに討伐されることでしょう。

瘴死病(ベスティア)

 しかし黒銀病騒動が収束して暫くした頃、謎の感染症により新たなパンデミックが起こります。それは治療耐性、感染力、致死性でそれまでの病を大きく上回り、特に黒銀病患者が瘴死病にかかるコンボが問題視されました(黒銀病のゴーレム化は老衰死以外のあらゆる死因で誘発します)。黒銀病、あるいはその治療法に問題があり、それによってこの感染症がここまでの速度で広まったという噂も拡散し、瘴死病患者だけでなく黒銀病患者までも再隔離、また黒銀病の治療に携わった人物の私的な弾圧などが横行し、挙句の果てには貴人の一人がそれらを扇動したともいいます。それらとそれへの対抗運動から国内は混乱。死者は増え、その死者は怪物に変貌し人を襲うという悪循環により、国家体制は完全に崩壊しました。
 隔離、焦土作戦が行われた今となっては、当時の詳細な状況を知る術は殆ど存在しません。現在のプラグホルンの主、ベアトリーチェのみが真実を知っているとされています。


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