ケルディオン大陸中央平原。その南東方面に広がる二本の大河に挟まれた湿地帯に本拠地を持つ、人族の武装組織です。彼らはバベル・ディンギラは本来自分たちの領土だとして、パルティニアにしばしば攻撃を仕掛けています。戦力は陸踏船とそれに匹敵する規模の超大型スカイシップを基軸とし、その機動力を生かし電撃戦を行います。そのため全貌の把握が難しく、パルティニアとて無視できない被害が生じており、四方大公の数ある懸念の中でも大きな割合を占めています。
以下の他にも、未確認のスカイシップや魔動機編隊などによる攻撃もあり、全貌は不明です。
「━━━━あの地は、俺達の物だ。故に戦う。戦って、勝つ。」
イルマサーダのリーダーです。かつては大破局以前に大陸中央部に居を構えていた覇権国家《ノイエ・ルーシャ》の軍隊に所属していた彼でしたが、大破局によってスロズノツ地下鉄道を含めたルーシャ・ネットワークが壊滅した事で生存者を連れて脱出し、その際に持ち出した魔動機武装によって転戦する武装旅団を造り上げました。
当然、彼も強力な戦士であり、炎武帝グレンダールの神官戦士として魔動機を駈って最前線へと飛び込む屈強な神官戦士として最終兵器の立ち位置を担っています。
彼が常に付けている仮面《罪と罰》は魔動機文明時代に造られた異形の面のプロトタイプと言える存在であり、それ故に常に潤沢なマナを保持する彼の支援は強力無比と恐れられています。
魔動機文明時代という恵まれた時代に産まれたが故に、ナイトメアでありながらも差別の少ない中で育ててもらった恩義、そして、その思い出が眠るバベル内部を巡って、今日も彼と彼等の戦いは続きます。
「あたい一人だけじゃダメなの。大きな力に抗うには、より多くの人が力を持つ必要がある」
様々な母船に姿を見せる凄腕の射手です。素性は不明でイルマサーダを離れていることも多く、決して人々からの信用を得ているとは言えませんが、その圧倒的実力の前には口を噤む他ありません。魔動機文明時代に同名の弓使いが活躍したという史料もありますが、それとの関連性も定かではありません。
普段の彼女は主に射撃術の指南を行っています。「ちょっと習っただけ」と自称する魔動機術においても通常からは遥かに卓越した造詣を持ち、エンジニア的業務を手伝うこともあります。戦闘の際にはその超越した隠密と狙撃術で、まったく予測できない場所から超火力の矢を放ちます。その矢は時に様々な属性をもって戦場を焼き払い、時にピンポイントで指揮官を暗殺したりと、文字通り一騎当千の活躍を見せますが、その戦果に満足した様子を示すことはなく、常に何かに駆り立てられるような焦りを感じると周囲は口を揃えます。
イルマサーダを離れている間は、あるナイトメアの強大な魔術師と共に世の悪事を成敗する旅をしているとも言われており、ミナディウムやパルティニア、プラグホルンで目撃したという情報もあります。
イルマサーダ兵の中でも精鋭が所属しているとされるセクションです。浸透や暗殺、深部偵察など、少人数かつ長期間にわたるような特殊任務を請け負います。そのため国内や母艦に滞在していることは稀で、所属する人数も明らかにされていません。アズサの直接指導を受けているとも言われ、イルマサーダ兵にとって魔騎士に任命されることは最高栄誉(であり、最も過酷な日々の始まり)なのです。