魔法文明・魔動機文明時代の遺跡群、そしてそれに隣接する現住のキャンプ地です。初期調査によれば、ここでは妖精に音楽を捧げ、それを対価に妖精から助力を得るという特異な文化があったようです。また、「単身楽団」と呼ばれる魔動楽器も発見されています。使い方は未解明ですが、その名の通り1人でオーケストラ級の演奏すら可能にした代物のようです。
これらの音楽文化の背景には”レブロス“と記される神の存在があったとされ、まだどこかで信仰されているのか、復活させることは可能なのかなど、神学者たちの間でも注目を浴びています。
現住のキャンプ地は、遺跡探索をする学者や冒険者のほか、噂を聞きつけた音楽を愛する若者たちも集まり、ある種の自治アートタウンのようになっています。妖精に捧げる音楽や単身楽団を用いた演奏も再現の試みが始まっていて、少数ながら妖精使い、魔動機術士の定住者も見られます。魔動機文明時代の部分も同様のキャンプから出発したという見方が強く、住人は未来への希望に満ちています。
「ここにはまだまだ誰も知らない旋律がいっぱい眠っているんだ」
クプロ・キャンプ設営からここで暮らす妖精奏者です。キャンプで一番の奏者と噂されており、彼がひとたび琴を構えればたちまち妖精が集まってきます。しかし妖精音楽自体が復興を始めたばかりであり、まだ上級の妖精は満足してくれないようです。グラスランナーとしては少数派とされる、金髪や白い肌をしており、左頬に青い星のタトゥーを入れています。ここに来る前に何をしていたのかは不明ですが、それはキャンプの定住者には珍しくもないことです。
彼は遺跡探索にも積極的で、よく護衛の冒険者を連れて遺跡に向かいます。しかし、興味関心でパーティを振り回しがちであり、同じ冒険者が二度依頼を引き受けることはあまりありません。
「エトもみんなも自分の生活に興味がないから……私がしっかりしないと」
クプロ・キャンプで露店を営む商人です。エトの双子の姉にあたり、銀髪に白い肌、右頬にある紫の月のタトゥーが特徴です。
学者や音楽家が多いこのキャンプでは、トラブルは少ないとはいえ放っておくとうまく回らないことも多く、冒険者ギルドも村にはまだないため、世話焼きな彼女は自らの店で相談役や依頼の斡旋なども引き受けており、事実上キャンプの顔役として認知されています。このキャンプで冒険者が仕事を探すなら、まず彼女の店を訪ねることになるでしょう。