《暗黒帝国》パルティニア・エンデ

 ケルディオン大陸中央部に広がる低地地帯を治める超巨大蛮族連合国家の総称。暗黒帝国という呼び名はケルディオン大陸を暗黒大陸と呼ぶアルフレイム大陸出身者が呼び始めた俗称であり、彼ら自身は《パルティニア》と括っている。
 初代皇帝であるケンタウロスの《全域覇王》アルケサス・パルティニアが混迷を極めていたケルディオン大陸中央部の蛮族諸侯を片端からぶちのめして一代にして築き上げたメガストラクチャであり、今もなお拡大を続ける混沌国家でもある。
 パルティニアは建国の英雄に人族の弓使いが居た為、『人族である』事を差別の理由にする事は忌避されます。
 しかし、それは逆に『穢れや種族関係無く力を求めない奴が真の弱者』という歪んだ倫理観を産みました。
 それ故、『いつか種の限界を越えてお前を倒してやる!!』と嘯くコボルドが持て囃され、逆にナイトドレイクであろうと力への意思を持たなければ迫害され、最悪殺されるほど差別意識が強い『強いだけの国家』となっています。

都市・施設

『始まりの塔』バベル

 ケルディオン大陸中央部に建つ、天を衝く塔です。円形基部の大きさは直径100kmを越え、下層階には人々が棲む都市までもが形成されています。
 また、その都市群の中で最も巨大なのがパルティニア・エンデの実質的な首都である皇都《ディンギラ》です。
 バベルの歴史は古く、魔法王国時代から既にその偉容を大陸に轟かせていたと言われています。一説によれば神紀文明時代に世界中に言葉を届ける為に建てられたとも言われていますが、その真偽は未だ分かっていません。
 上層階は様々な文明の様相が入り乱れており、まるで時間が乱れているかのような有り様です。それ故に上層階の探索は今なお続いています。
 アルケサス王もまた上層階を目指していると言われており、踏破者への高い報酬を公言しています。

人物

《全域覇王》アルケサス・パルティニア (ケンタウロス/男/150歳以上)

所在:公的にはパルティニア帝都。実際は謎
 大破局の後、人族・蛮族問わず様々な国家が産まれては消えていた混迷のケルディオン大陸中央部に突如現れ、電撃的速度で勢力を伸ばした蛮族国家『パルティニア』の初代王です。
 ケンタウロスでありながら魔導機術を修める道を選んだ彼は瞬く間に部族を統一し、周囲の蛮族領域を呑み込み、人族国家を蹴散らし、ケルディオン大陸中央部の低地の大半を手中に納める程の急速な成長を成し遂げました。
 しかし、侵攻開始から20年が経つ頃にはパルティニアはあまりにも巨大になりすぎ、統治が行き届かぬ地域が生まれてしまいました。彼はそれを止める為、配下の十英傑を二つに別け、地方を治める《四方大公》と常備軍を指揮する《五大将軍》としました。しかし、巨大になりすぎたパルティニアを憂いた彼の親友であった人族の英傑がパルティニアを去った為、十英傑は九人となってしまいました。
 それから、百年近く。
 初めは彼がケンタウロスであるが故に寿命の問題で分裂は避けられないだろうと目されていたパルティニアですが、その予想に反して彼は今なお健在であり、人族国家はこの現実を前に頭を抱えています。寿命を克服した理由は、妻であるヴァンパイアの力だとも、はたまた五大将軍のバジリスクの魔眼の力だとも、或いは所持する魔剣の力だとも噂されていますが、真実は不明です。
 彼個人の性格として有名なのが、呆れる程の人材マニアである点です。
 王という立場ある存在でありながら人に化けては特異な才を持つ者を探し、その才能が育つよう取り計らう謎のパトロンの存在はパルティニアどころかケルディオン大陸全体に広まった噂話です。
 もしも、プレイヤーが特異な才を発揮するようなことがあれば、謎のパトロンが接触してくる可能性は大いにあるでしょう。


四方大公


《大火晩盛》ランス・ザック・グルギ(ガルーダ/男/20歳)

 パルティニア四方大公の一人、二代目北方大公の青年です。
 北方大公の座を数年前に父から受け継いだ新参であり、将来を期待される新世代の希望の星です。
 しかし、その期待を背負い込んでしまう生真面目な性格からやる気が空回りしてしまっている為、目だった成果は上げられていないのが実状です。
 支えてくれる友や番、或いは……総てを掛けるに足る《宿敵》が現れれば化けるのだが……とは、彼の父の談。
 なんと初期状態ではレベル7という異例のレベルの低さを誇る萌えキャラです。ただし、一度追い詰めたり、或いは種を越えた友人になると覚醒して急激に成長。最終的には五大将軍すら越える化物に成長する主人公気質の持ち主。

《臥慎廠鍛》アグラ・ゲンバー(バジリスク/男/300歳以上?)

 ケルディオン大陸南部に住まう神獣《キムクイ》、その巨大な背中に栄える街《トリムルティ》を拠点にパルティニア南部を治める南方大公です。 彼はそもそもアルケサス王の仲間では無く、大破局の折にトリムルティを陥落させ、支配していた蛮王の一人でした。しかし、アルケサス王との決戦に敗れ、その臣下となりました。
 トリムルティは神獣の恵みにより様々な資源を排出する重要拠点となっており、パルティニアの軍需物資の大半はこの街で産出した物とも言われています。
 バジリスクでありながら刹那的な快楽よりも長期的な利益を見据えるその姿勢は、まるで巨大な亀であるキムクイと同化したかのようにも見えます。

《疾風怒濤》タント・ライガー(ワーウルフ(ライガー)/女/年齢不詳)

 マナ枯渇地帯であるルッツォルド砂漠に接するパルティニア東部を治める東方大公です。
 タイクーンライガーの特徴を示すワーウルフという珍しい人物であり、その名の通りに風のように戦場を駆けたと吟遊詩人は歌います。
 ……しかし、パルティニア建国後に彼女は突如失踪。すわ盟友の後追いか……?とも噂されましたが、一年後に彼女は戻ってきました。その腕に赤子を抱いて。
 それ以来、彼女は前線を引いて人に指示を出す仕事を好むようになり、真面目な領地運営という蛮族が考えなかった支配方法によって、アグラと並んで四方大公制度を形作る原動力となりました。現在は娘を含めた家族と共に領地に引っ込んでいますが、ウワサによれば最近は孫娘にいい所を見せようと東方諸国家の動向を注意深く見守っているのだとか……?

《製錬潔白》ガーレ・ドラゴニス(ドレイク/女/200歳)

 バーボネラ山脈に阻まれながらも水資源の豊かさから穀倉地帯となっているパルティニア西部を治める西方大公です。
 元々人間の文化に興味の深かった彼女は、四方大公制度の成立と同時に西部に引きこもり、100年計画での定住化を進めてきました。
 その甲斐もあり、西部はパルティニアでも有数の食糧生産量を誇る土地へと成長しました。
 そんな彼女の現在の悩みは、ここまで育て上げた土地ですらパルティニアの侵攻計画に伴う戦線の無制限拡大には着いていけないという残酷な事実です。戦争には維持に倍する資源が必要である以上、端から見れば豊かに見えるこの地ですら枯れ果てかねないという事実は彼女の前に高く憚っています。
 また、南西のケルシガルーとの干渉地帯にテレポーターが発見された事により、西部すらも戦端になりかねないなど、パルティニアの拡大政策の歪みが尤も際立ってしまった地でもあります。


五大将軍


『戮殺戯嘯』ジェラルド・アスティライザ(バジリスク/男/年齢不詳)

「真剣にやれ? いやいや、いつだって本気で巫山戯てるとも。だからさ、お前も楽しめよ、そんなに眉間に皺寄せてちゃ損だぜ?」
 五大将軍で屈指の古株であるアレキサンドライトバジリスクです。唯一五大将軍の席を伴侶であるアネモネと合名で得ている変わり者です。
 流麗飄々とした男性で、快楽主義者であり常に自らの楽しみを追い求め相棒であるアネモネと共に各地を放浪しています。 時に放浪癖のあるアルケサス王と共に旅をしていることもありパルティニアでは部下たちがしばしば行方不明になった上司の仕事を処理している部下達の姿が散見されます。
 しかしいざ戦場に立てばその手腕は悪辣で、あらゆる手管を用いて敵を陥れ、相手の尊厳すらも踏みにじるような策を用いることすら厭いません。
 しかし個人としては気に入った者、特に身内扱いした者には極めて甘い人間性であり、何度も裏切ろうとした家臣ですら許してしまっています。部下からの信頼も悪くはなく、仕事さえ普段からしてくれればいいのにと冗談交じりで愚痴られています。
 その出自はほとんどが謎に包まれており、実情を知るのは相棒であり伴侶であるアネモネと、唯一の盟友であるアルケサス王のみと言われています。  いつ頃から生きていたのかは誰も知りませんが、少なくとも大崩壊以前から存在し大陸中を旅していたと言われています。
 それではバジリスクの寿命の限界は近いはずですが本人は至って健康でまるで弱る様子はありません。賦活の魔眼のお陰であると言う者もいれば、魔剣である妻のおかげである、あるいはその両方であるとも言われていますが定かではありません。
 一人娘がいると言う噂がありますが魔剣と蛮族の間に生まれる子供が本当にいるのか?という疑問から眉唾物であるとされています。
 本人に聞いたところ「云百年前に家出かまされた、今頃どっかの王様の嫁さんとかやってるんじゃない?知らんが」と適当な返答しか返しません。

アネモネ・ディリティリオ

「会議めんどくさいのう……ジェラルドー、任せた……えぇー行かんとダメか?」
 美しい白い髪に、深海の様に蒼い瞳をした儚げな少女で常にジェラルドの伴侶として共にいることで知られています。
 基本的に常に気怠げで何事にもやる気が無いように見え、そしてその通りに何事にもやる気を見出していません。
 しかしやる気がないだけで、伴侶であり相棒であるジェラルドと同様に楽しそうな物事に関しては興味を示し、ジェラルドの肩に乗りアレコレと我儘を言う様子がしばしば目撃されます。
 その本質は魔道書の形をした魔剣であり、本人も高位のグリモワールかつデーモンルーラーとして戦場で猛威を振るいます。
 人の姿を解き、担い手と合一するときにこそ、真の性能を発揮します。魔道書から別たれた頁が鎧となり、記された呪文が武器となり、リンクした思考の多重演算により、思考のみで魔術を行使することすら可能になる人機一体の異形の姿は戦場で数多の敵を屠りってきました。
 この状態ではアルケサス王の強さに肉薄することすらあるとさえ言われていますが、本人はその評価を聞くたびに多分に過ぎると苦い顔をするようです。

"狂犬大将" ガルニッド(ワーウルフ(白狼)/女/22歳)

「よう、役立たずの無能はこのオレ様がブチ殺してやったぜダンナァ!! …………あン? ダンナじゃなくてカミさん?」
 各地への侵攻作戦で失敗を重ね続けていた五大将軍の一人を殺し、奪い取った皇帝夫妻への通話のピアスで唐突に名乗りを上げた人物です。強引に将軍の座を奪い取った形ですが、パルティニアの実力主義社会においてその地位を認められています。
 粗暴な性格で面倒を嫌うため指揮官には向かず、専ら自らも前線に飛び込み戦果を上げることを喜びとしており、その都度嬉々として通話でこれを報告しています。しかし、同様にして先代の首を討ち取った彼女を止められる者はいません。このため、”狂犬”の二つ名で恐れられています。
 本人は自らについて多くを語りたがりませんが、かつてパルティニア勢力に滅ぼされた人族の村娘であると噂されています。また、出身の部族について彼女に訊くと非常に不機嫌になることから、一族郎党皆殺しにしてきたのではないかとまことしやかに囁かれています。それ故、一部では先代を討ったのは復讐のためだった、いずれ裏切って王の寝首を掻こうとしている、などといった憶測も飛び交っていますが、その戦績の前には口を噤む他ありません。

”対立司祭”シュリ・デフロア(ブラッドトロール/男/117歳)

「進化とは淘汰の果てに至るもの。我らが神の御言葉です」
 アルフレイムから漂着してきたブラッドトロールです。先代のもとで力をつけ、それを決闘で打ち負かし五大将軍の座につきました。
 彼は今でも故郷の小神、”神の対立者”ブランアレイルを深く信仰しており、普段はその布教に勤しんでいます。ですが、その教義は決闘による淘汰を是とする苛烈なものであり、それと信仰拡大の板挟みに頭を抱えています(信者同士で殺し合いが始まり気を抜くと信者が半減してしまうのです)。その気苦労からか高い精神値を誇り、消費MPの増加を厭わず魔法を繰り出してきます。彼自身も対立の教義に忠実であり、常に同格の敵を求めています。

『妖歌』リー・クレシェン ダークナイト(人間生まれ)/男/58歳

「いやあ、ボク、ただ歌と語学が好きなだけなんだけどなあ……」
 パルティニアの五代将軍の一人であるダークナイトです。五代将軍ではあるのですが、「直接的な戦闘能力」に関して彼を凌ぐ者はいくらでもいるでしょう。彼が慕われる理由は、何よりその歌声にあります。あらゆる者を魅了して止まないそれは、心無い魔動機や魔法生物すら心酔させると言われています。
 本人はパルティニアに住む人族の間に生まれたごく普通の少年で、吟遊詩人として日銭を稼いでいただけなのですが、その声をたまたま聞いていたアルケサス王にスカウトされ、給料の良さにホイホイついて行ったら何故か戦場でも戦果を挙げてしまい、あれよあれよと五代将軍に任命されてしまいました。これは彼が優秀であるということの証明でもあるのですが、本人は向いてないよとぼやきながら今日も胃薬を服用しています。
 また、筋金入りの言語マニアであり、様々な種族語も自在に操ることから、その姿を見た部下や民衆には『マスター・オブ・バベル』等とけったいな二つ名で呼ばれ、更にリーを悩ませています。

”四剣八刀“エルドラド・グラビドボトム(ドレイク/男/142歳)

「フフ、ハハ、ハーッハッハッハ! その剣、その刀、その棍! 実に美しい! 全て纏めて私が貰い受けようではないか!」
 パルティニア五代将軍の1人にして、極度の魔剣マニアで有名なドレイクの男性です。今でも欲しい魔剣があれば持ち主を殺してでもそれを奪い、己のコレクションとして加え続けています。その欲は、ある剣の持ち主であった先代の将を殺害し五代将軍となった現在においても衰えを知りません。
 彼は常に全身のウェポンホルダーに10を超える魔剣をストックしているとされており、いざ戦闘ともなればその全てを湯水の如く使い潰す勢いで消費します。そんな彼のあまりの豪胆っぷりには、彼の古くからの友人さえ「あいつあれあんな雑に扱うならなんであそこまで貴重なの沢山集めてんだろうな」などと漏らしたほどです。
 ちなみに一人娘がいる……らしいのですが、本人にその話を振ると話が長くなってめんどくさいので誰も振りません。自分から喋り出したりもしますが、だいたいみんな聞き流しているようです。


その他


”炎転滑脱“アルマレンドラ・シャバーハ(ガネーシャ/女/139歳)

「己は炎。炎とは常に、そこにあるもの」
 クシャトリヤ階級のガネーシャの女性です。彼女の性格は他のガネーシャたちと比べでもかなり穏健にして非戦的ですが、己に近づき害を為そうとする者に対しては全力の殺意を込めて迎撃を行うといわれています。
 かつての彼女は、たった1人の銃を学び生命を殺すガネーシャに過ぎませんでした。しかし、ある日を境に彼女は銃を捨て、ある境地に達します。それが、現在の彼女の語る『炎』の極地――「何人にも触れられざること」です。
 彼女の異質たる所以は、その『圧倒的な生存能力』にあります。彼女の戦闘スタイルは他のガネーシャ同様に『イグニスの炎』をイメージしたものですが、彼女は他のガネーシャとは異なり、敵への殺戮行為を第一の是としません。彼女は炎の本質を『触れられざる輝き』だと考えており、彼女は何者にも己の肉体に(たとえ戦闘であろうと)触れられることを好まないのです。それゆえ彼女は、敵の攻撃の全てを避け、弾き、無力化するための術に非常に長けています。彼女のそれは人族領域において『ディフェンススタンス』と呼ばれるものに近しい戦闘術ではありますが、彼女はそれを巧みに操り、多勢相手でも恐れることはありません。
 彼女が著名な存在になって以降、パルティニア内でも彼女の後を追おうと戦闘スタイルを模倣する者は後を立ちません。しかし、そのほとんどは彼女ほどの高みに到達する前に死に直面することが殆どだと言われています。それゆえに、たとえガネーシャ以外の種族であっても彼女ほどの実力者はそう多くはないのが現状です。孤独を好む彼女の性格からしてみれば、おそらく「これでいい」と答えるのは間違いないのでしょうが……


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