ラスティネイル地方西部にある領域です。魔動機文明時代、テレポーターで通じた大アイヤール帝国の支配域でした。しかし大破局の折にテレポーターは破壊され、現在では連絡の途絶えた飛び地になっています。
飛び地ではあるものの事実上は独立国家になっており、主要な都市だけでも人口は10万人を超えると言われています。また、土地柄から魔動機文明の残り香が強く、レプラカーンが比較的多く住んでいます。
数年前、前領主が病床に伏したことで跡継ぎを巡った騒動が起こりました。分裂もあわやという事態に発展した末に、結果として領主の座を継いだはフェンベリーという女性です。しかしその素性はよくわかっておらず、黒い噂も少なくありません。
名深領の第二都市と言われる規模を持つ都市がポートビアです。元々は漁港でしたが、大破局後の周囲の変化から交通の要所として注目されるようになり、その後交易都市として大きく発展することになりました。また魔動機文明時代の大きな遺跡が発見された関係で、名深領のマギテック協会本部が設置されています。しかし、漁港時代に中心だった旧市街と現在の中心市街の間での格差が問題となっています。
政治は名深領の中にありながら特例的に共和制を敷いており、議会と市長がそれぞれ選挙によって決定されます。
ラスティネイル地方、名深領付近の地下にある共同体、およびその地下都市です。また、ケルディオン大陸におけるアーメス信仰の中心地にもなっています。
魔動機文明時代、大アイヤール帝国本国から宥和神アーメスへの信仰が流入しており、この地の蛮族や一部の人族に浸透していました。大破局の後、スロズノツ地下鉄道網に住み着いた蛮族たちはプラグホルンの変異体の脅威に晒されることになります。そこで彼らを取り纏め、脅威に対して共同で対抗しようとあるアーメス神官が呼びかけたことで、彼らは一つの共同体となりました。次第に勢力として大きくなった彼らは、拠点を通っていた路線から取って「ルートビエル」という名で呼ばれるようになります。
数年前の名深領の領主争いで、命を狙われている(と考えた)者の一部がここに逃げ込みましたが、フェンベリーはここまで追手を送り込むことはしませんでした。それは彼らがルートビエルに人族の知恵を齎らすことで治安の改善や変異体の地上出現の抑制が図られるためです。実際、フェンベリーの治世になって以降、変異体の出現数は減少しており、そしてそれは彼女の功績として地上では知られています。
ルートビエルにおいて、共同体の仲間は「盟友」と呼ばれ、余所者とは区別されます。彼らに仲間として認められ、庇護を受けるにはアーメス神殿にて盃を交わし、共同体への奉仕を誓わなければなりません。また、裏切りは最も重い罪とされ、捕まれば極刑は免れないでしょう。
「為政者なんて退屈なもの。何か面白いことの一つでも起きればいいのですが――」
名深領の現領主の女性です。跡継ぎ騒動の末に、生き残った唯一の縁者として領主に就きました。しかし彼女の素性は謎に包まれており、他の候補の死は彼女の手によるものではないかとも言われ、前領主との関係も疑われています。
「あぅ、わ、わたしのことは、コニーで結構です……」
引っ込み思案で臆病、だけどしっかり者な普通の女の子です。その実、4歳にして妖精神アステリアの声を聞いた神童でもあります。その実力を見初められ、幼いながらにして名深領の衛兵養成所での魔法教師を任されており、またその給与は病に冒された母の治療に充てている健気な一面も持っています。
というのが、一般的に認知されているコルリトニアという女の子です。ですがその裏では、フェンベリー領主就任の後ろ暗い立役者の一人でもあります。
アステリアの神聖魔法や、闇の妖精魔法にあるような他人の心に関与する魔法が得意であることに目を付けたフェンベリーに母の病気という弱みを握られ、他の候補者同士による競争を煽り、時に殺し合いを起こさせることで脱落者を生み出していたのです。
悪いことであると思っていても、父は既に他界し母は病床に伏している中で、唯一家族を守れる長女の立場として背に腹を代えることはできませんでした。そしてこれに対する罪悪感が首輪となって、未だフェンベリーに逆らうことはできません。