「探究する国」マギステル

 コタック地方、カナンより南西にある大国です。
 魔法文明時代より続く由緒ある国であり、隆盛を極めた魔法王マガ・ノストルムの時代には、現在のパルティニアよりも広い領土があったと言われています。
広く魔法を学ぶための国家というよりは、深く魔法を研究するための国、といった趣です。
 その政治体制は、国にいる賢者達による合議制であり、中でも強い影響力を持つ三人の賢者は『三賢者』と呼ばれ、敬われ、あるいは恐れられています。
 寿命が長い種族はそれだけで研究を長く進められ、また多くの癒し手が存在することから、ナイトメアはほとんど差別されないどころか、羨望の的にすらなっています。
 『三賢者』の中にナイトメアがいることも、その傾向を後押ししているのでしょう。そういった文化的差異こそありますが、カナンとは国交を結んでおり、共に蛮族と戦っています。

地域・施設

無能地区

 マギステルの外れにあるのが、この無能地区です。無能というのは、魔法を使う「能」力が「無」いということを意味しており、実際住んでいる者は一部の例外を除いて魔法使いではありません。差別的な雰囲気を感じさせる名称ですが、そういうわけではなく、国に必要な技術者や商人が多く住んでいる場所です。また、冒険者ギルドもこの地区にいくつか存在しています。守りの剣の範囲外であり、蛮族やアンデッドの襲撃が多く起こることから、冒険者が必要とされるのです。
 この地区に住んでいる一部の例外の魔術師というのは、主に操霊術士です。アンデッドを使役する研究をするには守りの剣の範囲内では不都合なため、この地区でアンデッドを生み出しているのです(そしてそのアンデッドが暴走し、冒険者に討伐されるというケースも良くあります)。それ以外では、人族の中で魔法の研究をしたいと考え、マギステルに移り住んだ蛮族も存在しています。
 マギステルが統治している場所ではありますが、治安は中心部に比べると悪いと言わざるをえません。悪しき魔法の研究をする魔術師や、粗暴な冒険者、違法な娼館などもあり、賢者達も頭を抱えています(賢者達は無論皆魔術師ですから、魔法を使えない人々の感覚がわからず、上手い政策を打ち出せないのです)。

マナの湖

 豊富なマナが含まれた水が湧き出す湖です。研究家によれば、魔法文明時代の遺物が沈んでおり、それの効果によってマナを含むようになったそうです。
 この湖の水を使った『魔香水』は効果が高く、冒険者達に愛用されています。

人物

『永久凍土』リーズ・ナラティブ ナイトメア(エルフ生まれ)/女/???歳

「終わりなき生。だが常に変化はある」
 マギステルを統治する、『三賢者』の一人です。『魔法と結婚している』『新たな論文と魔法にしか興奮しない変態』などと言われる程魔法の研究一筋な人物です。
 神聖と、魔神使いの魔法以外を全て高い水準で習得しており、正しく当代最高の魔法使いと言えます。
 彼女の言葉は常に正確無比であり、そのため他の賢者達に煙に巻いて不正を働く、というような行為を許しません。
 無表情で無感情のようにも見えますが、甘味処で幸せそうな顔をしているところを見た、という噂が囁かれています。

『自然癒』フィラ・ナル・ナガル メリア(長命種)/女/30歳

「あらあら、妖精さん達、ちょっと大人しくしててちょうだいね?」
 マギステルを統治する、『三賢者』の一人です。キンモクセイのメリアであり、妖精魔法と神聖魔法の達人です。
 マギステルの代表的な冒険者ギルド支部『癒しの蝶々』のギルド支部長でもあり、民との距離の近さから、高い人気を誇っています。
 マギステルの冒険者達への支援に力を入れており、荒事の相談なら彼女にすれば間違いありません。
 最近の悩みは、独身であるため、様々な男性が彼女に言い寄ってくることです。

『正眼』アルマ・ライ エルフ/男/128歳

「お二方は少しばかり悠長なお考え過ぎる……」
 マギステルを統治する、『三賢者』の一人です。
 ナイトメアやエルフなど、長命な種族が多い故に保守的な考えになりがちなマギステルの政治機構の中にあって、革新的な案を出すことから、常に注目を浴びています。 大体の案は却下に終わることも多いですが、強靱な精神力で毎度新たな政策を打ち出してきます。
 行きつけのカフェの看板娘だけが、今の彼の癒しとなっているようです。

『変竜』ヴィオラ・ル・ガル レッサードラゴン?/女/???歳

「ドラゴンの姿の方が色々楽じゃぞ、どこでも寝られるし、空も飛べる」
 ケルディオン各地で目撃情報のあるレッサードラゴンです。しかし、その正体は人間の少女、それも魔術師です。
 幼くして真語魔法の才を極限まで高めたヴィオラは、ビカム・ドラゴンの魔法を極め、人と竜の姿を自在に行き来出来る、新たな種族と言っても過言ではない存在になりました。
 一度ビカム・ドラゴンの魔法を行使してから、その強靱な肉体に感動したヴィオラは、竜として生きようとしたのです。
 人としての寿命は過ぎているはずですが、彼女が人間態になる時は、魔法を極めた11歳の頃の姿のままです。今では、ケルディオン全体を飛び回りながら、気ままに生きています。


無能地区

“悪竜団長”ガラニカ リルドラケン/男/40歳

「賢者なんていう頭の固い連中に、この地区を任せちゃおけねえんだよ」
 無能地区の自警団『悪竜騎士団』の団長です。騎士団などと嘯いていますが、その実態はほぼギャングであり、彼らが取り締まりと称して行った暴力事件は枚挙に暇がありません。しかし、実際彼らの存在が抑止力となり、直接的な暴力、殺人事件などの件数は減ってきています。国としては放置するわけにも、無論癒着するわけにもいきませんが、組織の規模が大きく、末端を逮捕するのがやっとです。
 ガラニカは暴力的ではありますが、情に篤い人物でもあり、悪竜騎士団が無軌道な犯罪集団にならないようとりまとめています。無能地区で何か問題があった時、彼に相談出来れば力になってくれるかもしれません。

“紅蓮の魔女”メディ 人間/女/17歳

「手を貸せ。処女の血が1Lと、魔神の心臓が3つ、竜の頭骨が1つ要る」
 最近になって無能地区に移り住んできた、冒険者兼魔術師です。元はアルフレイムの魔法学校に通っていたそうですが、更なる知識を求めてケルディオンまで渡ってきました。そんな彼女は、御伽噺に登場する『美しく狡猾で、悪しき魔女』そのもののような容姿と性格をしており、真紅の髪と瞳は、他者に圧力を感じさせます。真語魔法を主として使いながら、民間に伝わる黒魔術や怪しげな儀式まで節操なく試しています(無論そのほとんどは意味の無いものですが)。本人が冒険者であることもあり、よくマギステルから離れて自ら調査に向かったり、また、彼女自身の実力は一流ではありますが英雄や超一級の魔法使いに及ばないため、強力な魔物(無論、彼女の黒魔術や怪しげな儀式の供物となります)の討伐を他の冒険者に依頼することもあります。

“不可視の鼠”ラット・チュー レプラカーン(ネズミ)/女/10歳

「情報ならアタイに任せな、積む金次第で、オススメの娼館から黒魔術師の住処までなんでも売るぜ、何が欲しい?あ?アタイのスリーサイズ?そりゃ一番高いね、払えるかいロリコンのヘンタイサン?」
 無能地区で「探し屋」を営む少女です。幼い頃(今でも世間から見れば幼いですが)に両親を亡くし、生きるために実力主義の冒険者達の世界の中で情報を売るようになりました。魔剣の迷宮や遺跡の情報は勿論のこと、政府の要人のプライベートな情報や、クリティカルな情報までもを売りさばきます。無論そんなことをすれば様々なところから顰蹙を買うことは必至なため、名前を名乗らず(ラット・チューというのは、彼女のことを知っている人々の間での通称です)、大きな金が入った後には欲張らずにその種族特徴を活かして雲隠れします。
 彼女の情報はそれなりの値段がしますが、裏打ちのされた確かなものであり、高い金を払ってでも彼女から情報を買いたいと言う人々は後を絶ちません。

特産品

名称湖の魔香水価格700
概要効果の高い『魔香水』
説明マナの湖の水を使った魔香水です。対象となったキャラクターのMPを威力10+1点回復します(レンジャー技能による回復量の上昇効果も受けます)。

流派

ナラティブ流攻勢魔法術

入門条件:名誉点50
 『永久凍土』リーズ・ナラティブが提唱する攻撃的な魔法行使を可能とする流派です。 彼女自身が前線に立つことはほとんどありませんが、蛮族との対抗策として編み出された技法はマギステル内でメジャーなものとなっています。
 習得に時間はかからず(真語、操霊魔法などはそもそも習得までに時間がかかるものですが)、コツを掴めばすぐに使えるようになるため、冒険者に非常に高い人気を誇っています。
 また、これを学ぶための塾や教習所なども充実しているため、マギステルに住んでいるものならば幼い頃に一度は教わっておく、というケースも少なくありません。
 流派装備には、攻撃魔法の射程を伸ばすマナスタッフ、ナラティブスタッフが伝わっています。

▼秘伝と装備

ナガル流守勢癒術

入門条件:名誉点50
 『自然癒』フィラ・ナル・ナガルによって拓かれた回復魔法に特化した魔法使用技術です。
 『永久凍土』リーズ・ナラティブのナラティブ流攻勢魔法術に対抗……というより便乗して作られた流派だと言われています。
 マナの流れを操り、より自分や他者の傷を効率的に癒す術であり、また、神聖魔法を使える者ならアンデッドに対する有効な攻撃手段としても使えます。
 そのせいで、守勢と名乗りながら殺意が高い流派だと揶揄されることもありますが、フィラ本人はニコニコ笑ってその発言を流しています。
 この流派の話を聞いたリーズは珍しく表情を曇らせ、「これだから天才は」と頭を抱えたそうです。
 前提とする戦闘特技が癒し手にそぐわないものであるため、習得者は多くありませんが、真語魔法と操霊魔法を同時に修めている術士などには回復魔法の効果の底上げのために修めるものもいます。
 流派装備には、回復魔法の回復量を上げる装飾品、ナガルの花冠があります。

▼秘伝と装備

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