![[PukiWiki]](image/pukiwiki.png "[PukiWiki]")
#author("2023-01-25T19:58:11+09:00","","") #author("2023-01-25T19:58:24+09:00","","") * 残光のエトランゼ 間想「双呪のしらべ」 [#hd224e49] 彼女らは存在しない。ソルージュは彼女らの存在を認知しない。だから、これはある種の例え話。~ ~ ~ ~ |30||c |BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#0070C0):揺光|BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#0070C0):敗北の二文字が脳内をちらついたのは初めてではない。左遷。模試。鋳造所……でもああやって明確にこちらに刃を向ける人が現れたのは初めてだったように思える。| |COLOR(#007050):極夜|:COLOR(#007050):『やっぱり』って思った。&color(#000000){私};の怖れは架空のものなんかじゃない。世界は&color(#000000){私};の敵で、抗い続けなければ&color(#000000){私};は奪い尽くされる。| |BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#007050):極夜|BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#007050):『やっぱり』って思った。&color(#000000){私};の怖れは架空のものなんかじゃない。世界は&color(#000000){私};の敵で、抗い続けなければ&color(#000000){私};は奪い尽くされる。| |BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#0070C0):揺光|BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#0070C0):でもあの子と戦った時……&color(#000000){私};は自分の中に、恐怖とは違う、昏くも甘い思考を見出した。| |~|BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#0070C0):「もしもあのまま負けたのなら。幸せとの繋がりをずたずたに断たれてしまえば。いっそのこと全てを投げ出して楽になれたのかもしれない。躊躇なく世界とさよなら出来るようになるのかもしれない」| |BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#007050):極夜|BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#007050):揺光の躰は無数の紫雷に貫かれている。咎めるように。否定するように。&color(#000000){私};はそのような甘えた考えを許した覚えはない。どうしてそこに居るの？| |~|BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#007050):「幸せを奪われた後のことなんて考えても無駄よ。負けた後の逃げ道なんて考えるような奴が、本気で幸せを奪おうとしてくる奴らに抗えると思う？」| |BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#0070C0):揺光|BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#0070C0):痛い。感覚が雷を伝って虚空へ熔け出していくようだ。&color(#000000){私};が存在することはそんなにも罪なの？生きることは、どうしてこんなにも苦しいの？| |~|BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#0070C0):「刺されながら、傷つきながら生きる理由って何？&color(#000000){私};が縋る幸せは、本当に実在するの？だって、&color(#000000){私};から幸せを奪おうとする人たちの方が余程――」| |BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#007050):極夜|BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#007050):私の指が揺光の喉に刺さり、手加減なく締め上げる。抵抗する力なんて揺光にはない。抗うことを諦めた者に抗う力なんてあるはずがない。| |~|BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#007050):「言われたでしょう。&color(#000000){私};は世界の敵。世界は皆&color(#000000){私};の幸せを奪おうとしているのだから、与えられた幸せを奪われないように抗って抗って、死ぬまで抗い続けるしかない。他に道はないし、他のことを考える暇もないの」| |~|BGCOLOR(#FFFFFF):COLOR(#007050):「痛いのも苦しいのも、あなたが余計なことを考えるせいよ。あなたが不要な思考に気を取られている間にも、世界は&color(#000000){私};に牙を剥く。あなたの存在が&color(#000000){私};のパフォーマンスを低下させているのがわからない？邪魔なの。早く消えて」| ~ ~ ~ 彼女らは存在しない。ソルージュは彼女らの存在を認知しない。だが、もしも――
