傷跡を追う者、アズサ:不倶戴天
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* 傷跡を追う者、アズサ:不倶戴天 [#cc325f02] イルマサーダにおけるアズサは客人だ。基本的に作戦や防衛計画に組み込まれることはなく、戦闘の時居合わせたら協力するという形をとる。自分がいつも船に居るという訳ではない以上合理的だし、時々計画に口を出すことはあれど、このスタンス自体には不満もない。だから単純に珍しいな、と思った。イルマサーダの側からアズサが呼び出されることは、ほとんどないからだ。~ ~ 「急に呼びつけてすまない」陸踏船ミール艦長室。決して豪奢ではないものの、賓客をもてなすための雰囲気が丁寧に作りつけられている、そんな雰囲気の部屋。他の艦船の艦長室はもっと質素な執務室然とした場所であるが、ミールのものだけ飾り気のある理由――それは、この部屋は来客をもてなさなければならないからだ。この部屋の主はイルマサーダ亡命政府代表、レオニー・イルマサーダなのだから。~ ~ 「要件を」~ ~ 「……何度も言ってるが、俺とお前との関係は軍隊のそれじゃあない。挨拶くらい交わす方が自然だと思わないか」~ ~ 「時間の無駄だと思わない?」~ ~ 「無為に不興を買うよりはよっぽどマシさ。俺は別に構わないが……その分だと他所でもそうなんだろ。やめといた方がいい」~ ~ 言いながらレオニーは封筒を机に置き、アズサに差し出した。~ ~ 「お前宛の手紙だ。国がわざわざ個人に宛てて出す手紙だ、きちんと目を通しておけよ」~ ~ 「何て国?」~ ~ 「トゥーラン学園都市国」~ ~ その名を言い終える頃には、アズサは天井で矢をつがえていた。こんな状況でも思わず見とれてしまうほど、アズサが弓を構える姿は美しいのだが――次の瞬間には、矢が封筒に直撃し爆発していた。どうやら戴天の魔弓によって与えられた途方もない運動エネルギーだけでなく、【エフェクトウェポン】による炎属性まで与えられていたらしい。雑兵はおろか熟練兵でさえも消し炭にしてしまえるほどの威力を秘めた狙撃を艦長室で放たれ、流石に動揺したレオニーであったが……~ ~ 「……どうやら向こうさんの方が一枚上手だったな」~ ~ 爆煙が晴れたそこには、焦げ跡一つない完璧な封筒が残されていた。のみならず、机や調度品も傷ひとつない状態が保たれている。差出人はアズサのこのような癇癪を想定して防護魔法を仕掛けていたらしい……~ ~ 「チッ」~ ~ 「はぁ、壊れたものがあったら弁償だからな。あと他所ではやるな、絶対にだ」~ ~ 「この国がどういう国か知ってんの!?」~ ~ 「知ってるとも。人族も蛮族も問わず、学ぶ者を受け入れ続ける“学生たちの国”。大層なことじゃないか。あそこは魔動機文明の雰囲気がほとんどそのまま残ってるとも聞く。お前なら――」~ ~ 「冗談じゃない。蛮族と共存?どうしてそんなことができるわけ。大破局で思い知らされたんじゃないの、人族と蛮族は不倶戴天なわけ」~ ~ 「戦争目的とイデオロギーを混同しちゃいけない。もしバベル・ディンギラを占拠してるのが人族なら、俺達の敵は人族だ。蛮族と戦ってるのは俺達の故郷に居るのが蛮族だからに過ぎない。もし奴らがディンギラから立ち退いて俺達に譲ってくれるというなら、喜んで和平を結んでやる」~ ~ 「そんなことは万が一にもありえない」~ ~ 「不幸なことにな。お前にとっちゃ幸せなんだろうが」~ ~ 「あたいが蛮族と戦えればなんでもいい戦闘狂か何かだと思ってる!?」~ ~ 「……確かに戦ってる間も楽しそうには見えないな」~ ~ 「……あたいは蛮族と戦うために遺されたんだ。それなのにさ、目が覚めた時にはもう文明が蛮族に滅ぼされた後だ、って聞かされて……」~ ~ レオニーがこの話を聞くのは初めてではなかった。ティエンスの仮死と、それによって起こってしまった時代とのすれ違い。自分には想像するしかない。どうすれば彼女の傷を埋めてやれるのか想像もつかない。珈琲を淹れてやって、ゆっくり話を聞いてやるしかない。~ ~ 「……それでも、約束したから。未来で蛮族と戦うって。でなきゃあいつに顔向けできない」~ ~ まだ熱いはずの珈琲を、アズサは一息で飲み干した。眉間に皺を寄せたのは、苦いからのみではあるまい。~ ~ 「だからトゥーランとは関われない。本当に人族と蛮族が共存しているんだとしたら、あたいは間違いなく異物になる」~ ~ 「いっとき気分転換ってのも悪くはないと思うが」~ ~ 「ハヤブサを裏切るわけにはいかない」~ ~ 「…………」~ ~ 「話はそれだけ?じゃ、これで」~ ~ アズサは返事も待たず立ち上がると、足早に艦長室を立ち去った――~ ~ 「あ、おい!これ持ってけよ!」~ ~ ――封筒を机に残したまま。~ ~ 「……ったく。ミールはゴミ箱じゃねえっての」~ ~ 封蝋も切られず放置されたそれを見て、レオニーは肩を竦めた。しかし懐中時計に目を落とした一瞬の隙に、その封筒は消えていた。~ 「アビスカースの応用か?また便利な……いや待て。それなら俺が渡してやる必要無ぇじゃねえか!?」~ ~ ~ ~ [[tales]]
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* 傷跡を追う者、アズサ:不倶戴天 [#cc325f02] イルマサーダにおけるアズサは客人だ。基本的に作戦や防衛計画に組み込まれることはなく、戦闘の時居合わせたら協力するという形をとる。自分がいつも船に居るという訳ではない以上合理的だし、時々計画に口を出すことはあれど、このスタンス自体には不満もない。だから単純に珍しいな、と思った。イルマサーダの側からアズサが呼び出されることは、ほとんどないからだ。~ ~ 「急に呼びつけてすまない」陸踏船ミール艦長室。決して豪奢ではないものの、賓客をもてなすための雰囲気が丁寧に作りつけられている、そんな雰囲気の部屋。他の艦船の艦長室はもっと質素な執務室然とした場所であるが、ミールのものだけ飾り気のある理由――それは、この部屋は来客をもてなさなければならないからだ。この部屋の主はイルマサーダ亡命政府代表、レオニー・イルマサーダなのだから。~ ~ 「要件を」~ ~ 「……何度も言ってるが、俺とお前との関係は軍隊のそれじゃあない。挨拶くらい交わす方が自然だと思わないか」~ ~ 「時間の無駄だと思わない?」~ ~ 「無為に不興を買うよりはよっぽどマシさ。俺は別に構わないが……その分だと他所でもそうなんだろ。やめといた方がいい」~ ~ 言いながらレオニーは封筒を机に置き、アズサに差し出した。~ ~ 「お前宛の手紙だ。国がわざわざ個人に宛てて出す手紙だ、きちんと目を通しておけよ」~ ~ 「何て国?」~ ~ 「トゥーラン学園都市国」~ ~ その名を言い終える頃には、アズサは天井で矢をつがえていた。こんな状況でも思わず見とれてしまうほど、アズサが弓を構える姿は美しいのだが――次の瞬間には、矢が封筒に直撃し爆発していた。どうやら戴天の魔弓によって与えられた途方もない運動エネルギーだけでなく、【エフェクトウェポン】による炎属性まで与えられていたらしい。雑兵はおろか熟練兵でさえも消し炭にしてしまえるほどの威力を秘めた狙撃を艦長室で放たれ、流石に動揺したレオニーであったが……~ ~ 「……どうやら向こうさんの方が一枚上手だったな」~ ~ 爆煙が晴れたそこには、焦げ跡一つない完璧な封筒が残されていた。のみならず、机や調度品も傷ひとつない状態が保たれている。差出人はアズサのこのような癇癪を想定して防護魔法を仕掛けていたらしい……~ ~ 「チッ」~ ~ 「はぁ、壊れたものがあったら弁償だからな。あと他所ではやるな、絶対にだ」~ ~ 「この国がどういう国か知ってんの!?」~ ~ 「知ってるとも。人族も蛮族も問わず、学ぶ者を受け入れ続ける“学生たちの国”。大層なことじゃないか。あそこは魔動機文明の雰囲気がほとんどそのまま残ってるとも聞く。お前なら――」~ ~ 「冗談じゃない。蛮族と共存?どうしてそんなことができるわけ。大破局で思い知らされたんじゃないの、人族と蛮族は不倶戴天なわけ」~ ~ 「戦争目的とイデオロギーを混同しちゃいけない。もしバベル・ディンギラを占拠してるのが人族なら、俺達の敵は人族だ。蛮族と戦ってるのは俺達の故郷に居るのが蛮族だからに過ぎない。もし奴らがディンギラから立ち退いて俺達に譲ってくれるというなら、喜んで和平を結んでやる」~ ~ 「そんなことは万が一にもありえない」~ ~ 「不幸なことにな。お前にとっちゃ幸せなんだろうが」~ ~ 「あたいが蛮族と戦えればなんでもいい戦闘狂か何かだと思ってる!?」~ ~ 「……確かに戦ってる間も楽しそうには見えないな」~ ~ 「……あたいは蛮族と戦うために遺されたんだ。それなのにさ、目が覚めた時にはもう文明が蛮族に滅ぼされた後だ、って聞かされて……」~ ~ レオニーがこの話を聞くのは初めてではなかった。ティエンスの仮死と、それによって起こってしまった時代とのすれ違い。自分には想像するしかない。どうすれば彼女の傷を埋めてやれるのか想像もつかない。珈琲を淹れてやって、ゆっくり話を聞いてやるしかない。~ ~ 「……それでも、約束したから。未来で蛮族と戦うって。でなきゃあいつに顔向けできない」~ ~ まだ熱いはずの珈琲を、アズサは一息で飲み干した。眉間に皺を寄せたのは、苦いからのみではあるまい。~ ~ 「だからトゥーランとは関われない。本当に人族と蛮族が共存しているんだとしたら、あたいは間違いなく異物になる」~ ~ 「いっとき気分転換ってのも悪くはないと思うが」~ ~ 「ハヤブサを裏切るわけにはいかない」~ ~ 「…………」~ ~ 「話はそれだけ?じゃ、これで」~ ~ アズサは返事も待たず立ち上がると、足早に艦長室を立ち去った――~ ~ 「あ、おい!これ持ってけよ!」~ ~ ――封筒を机に残したまま。~ ~ 「……ったく。ミールはゴミ箱じゃねえっての」~ ~ 封蝋も切られず放置されたそれを見て、レオニーは肩を竦めた。しかし懐中時計に目を落とした一瞬の隙に、その封筒は消えていた。~ 「アビスカースの応用か?また便利な……いや待て。それなら俺が渡してやる必要無ぇじゃねえか!?」~ ~ ~ ~ [[tales]]
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